草月流 家元教室|第7応用花型「浮き花・敷き花・盛物」で磨く構成力

草月流 家元教室にて「2-16 第7応用花型 浮き花・敷き花・盛物」を受講しました。
ご担当は加藤久美子先生、受講日は2025年12月2日です。

今回のテーマで特に印象に残ったのは “素材に向き合い、最小限の要素で構成する力” です。浮き花・敷き花・盛物、それぞれの技法の違いはあっても、 素材の個性を見極めて配置し組み合わせる力が共通する軸 だと気づきました。

いけばなを続けていると、「応用花型」と聞くだけで構えてしまうことがあります。
しかし、第7応用花型「浮き花・敷き花・盛物」は、実は 花材の数が多くなくても成立する、構成の力を磨ける稽古 でした。

器の色や水面、花材の表と裏、花数と位置関係。ほんの少しの違いで作品がガラッと変わるからこそ、
初心者でも「気づき」が多いテーマだと感じています。

今回は、草月流 家元教室で学んだ構成力のコツと、実際の作品の改善プロセスを、写真と振り返りとともに記録します。

目次

第7応用花型とは|浮き花・敷き花・盛物に共通する“構成の力”

浮き花

デザイン的には“平面分割”の考えが含まれ、器の中の水面をキャンバスに見立てて構成する技法
花材を浮かせる位置や数は、ほんの数センチで印象が変わります。

敷き花

生花を使ってもピック(水の補給)を使わないため、持ちの良い花材選びが構成の一部に含まれる
「何を選ぶか」がすでに“構成”の第一歩。

盛物

正月向けとしても親しまれる技法。
根・葉・実を組み合わせると祝意がこもると言われ、小ぶりながらも華やかな作品がつくれます。
水をたっぷり入れた器に、葉・実・花など3要素を立体的に組み合わせ、色味により華やかさが変わります。
また、野菜や果物を取り入れることもでき、空間と季節を取り込む面白さがあります。

私の作品① 「浮き花」|”構成力”を意識する稽古

青い丸い花器に、アイビーの柔らかな曲線を合わせました。
一本では寂しい、しかし二本では強すぎると感じ、一本は長く、もう一本は半分の長さにして中央に置き、空間を裂く役割を持たせました。

<私の作品ビフォー>

ラナンキュラス1つ

花は効果的に少量使うとのことだったため、鮮やかな黄色のラナンキュラスをひとつだけ。
“水が真を表す”と言われるとおり、 水を見せる量と透明感が作品の印象を決めるので、量・濁り・反射を意識しました。

先生の 講評(浮き花で意識すべき構成力)

  • 浮かせる茎の長さは、重さや太さを見て調整
  • 3つを離すと“3点”になり空間が分断されるため、2+1で関係性を生む
  • 花の大きさは「大1+中2」がバランスを作る
  • 器の色が強い場合、花数で視覚的バランスを整えること

青の器が強く主張する分、花材が極端に少ないと器だけが際立って見えてしまう
「最小限=減らすこと」ではなく、要素の“関係性”で空間を構成することを学んだ瞬間でした。

<私の作品アフター>

ラナンキュラス2カ所に3つ

私の作品②「私の花」|“自分の好み”を構成に落とし込む稽古

今回のもう一つのテーマは「私の花」。
私は 「下がる」と「上がる」 を対比として表現したいと思い、アイビーを下げる方向に配置しました。
しかし四方向にただ落としてしまい、 動きの意図が散ってしまった のが反省点です。

私の作品(花材:ラナンキュラス、アイビー、紅葉ヒペリカム)

<私の作品ビフォー>

先生の 講評(構成に迷ったときの判断軸)

  • アイビーの葉の“表”を見せる
  • 四方向ではなく「3+1」に分けることで動きが生まれる

<私の作品アフター>

「私はどう生けたいのか」を考える前に、“今、生けられるものをそれなりに生けてしまう”クセがあると気づかされ、少し悔しくなりました。

しかし、助手のI先生から
「アイビーは枝と一緒に使ってもいい」
とアドバイスいただいたことで、気持ちを切り替え、家に帰って再挑戦。

前回の稽古で使用したサンゴみずきをまだ生かしていたので、アイビーと絡ませてもう一度構成してみました。

<家で生け直した「私の花」>

アイビーが枝に寄り添うように見え、少し作品に温度が出た気がします。
胸を張ってこれは私の花です”と言えるようになったことが、今回の最大の収穫でした。

今日の学びメモ(技術/気づき)

  • 花数は“減らす”より“関係づける”
  • 「3+1」の考え方は動きを生む
  • 花材の重さと茎の長さは比例して考える
  • 表と裏の意識は作品の“表情”になる
  • 「とりあえず生ける」から「選んで生ける」へ

最後のまとめ|構成力は「センス」ではなく「観察と選択」の積み重ね

第7応用花型は、技法の違い以上に “構成力”を鍛える時間 でした。

応用花型と聞くと、
「経験がないと難しいのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、今回の稽古を通じて感じたのは、素材と器の声を聞き、何を活かし、何を減らし、何を際立たせるかを判断すること。構成力は特別な感性ではなく、観察して選択する行為の繰り返しだということです。

・花材をどう活かしたいか
・どの高さ、向き、長さが合うか
・要素同士がどう関係して見えるか

正解があるようで、ない。
だからこそ、試して、気づいて、また生ける。
稽古は続きますが、一つの花と対話しながら構成していくこのプロセスこそ、草月らしい面白さだと改めて思いました。

次回は、「選んで生ける」意識をもう一段階深めたいと思います。
花と向き合う時間が、少しずつ自分の表現に繋がっていくと信じて。

この記事を書いた人

国産時計メーカー勤務歴20年以上の私、えいさんが、海外ブランドの可愛いファッション時計に魅せられ、その魅力を多くの方にお届けしたく発信しています。詳しくはプロフィールページへ

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