「仕掛人 藤枝梅安」2部作は2月に1部目、4月に2部目が公開されました。2部目を今日鑑賞してきました。
公式サイト https://baian-movie.com/
池波正太郎による江戸時代のお話ですが、仕掛人という裏稼業の世界がのぞけて大変興味深い物語です。その時代の再現を映画ならではの俳優陣、舞台背景(CGかも?)、火や水を大量に使う規模感で見られるので、とってもぜいたくな気分が味わえます。
なんといっても豊川悦司さんがはまり役で、背はあるし、声や顔のしわ加減も含めて色気が半端ないです。
藤枝梅安の物語
仕掛人として数々の悪人を闇へと葬ってきた藤枝梅安(豊川悦司さん)と彦次郎(片岡愛之助さん)、いずれ最後は自分たちも同じ運命をたどることを覚悟し生きる二人に藤枝梅安とのある因縁を背負う相手が迫りくる!前作を超えるほどの難敵が登場し、さらにぐいぐいとストーリーに引き込まれました。
江戸の食事風景がのぞける
江戸の食事を知れるのもこの物語の特徴で、いつもたいてい食事シーンは夜。部屋の行灯一ついている中、美味しそうに食べています。
今回はハゼの鍋。暗いし鍋の中に魚が並んでいるだけなので見た目にはとてもおいしそうには見えない、なのに手づかみして口に運ぶ姿は本当に美味しそうに見えます。
梅安の女中(高畑淳子さん)が「今時分のハゼは白子をお腹に入れて、脂がのっているんですよ」というセリフの後だったので、なおさらうま味が増してみえます。
バディは安定の愛之助さん
愛之助さんもさすがの落ち着いた演技で、梅安とのバディ感がとっても良いです。殺陣が格好良くて、天井に潜んで、でも敵に見破られて天井から落ちてきてからのシーンはキレキレのスピード感でした。
愛之助さんは声がとても色っぽいですね。暗がりの中のシーンでは特に声の色っぽさが際立ちます。猪口で酒を口に運ぶシーンも肘を90度にあげてとても粋でした。
椎名桔平さんの意気込み
全然主役級ではない配役ですが、椎名桔平さんの演技も良かったです。役柄的には双生といって双子の2役ですが、弟のほうが本当に悪行三昧で人に恨まれることばかり、最後の無くなり方も無残極まりないやられ方で、見ている側には不快な感情しか残りません。
お役人のお兄さんは良い人なのですが、弟のほうの印象が強く、「よくこの嫌な奴の役を引き受けたな」と感じていました。どんな役でもこなしてしまう、さすが俳優さんです。
映画「仕掛人 藤枝梅安」どんな人に見てもらいたいか?
この映画を見て思ったのは、今とは時間の流れ方も全く違う時代の話ですが、「人を慕う気持ち」だとか、自分を捨てた母親を憎む気持ちを「獣の匂いがするから」と表現したりすることから、人間が持つ心情的なことや悩みの種は時代が変わってもあまり変わらなかったりするのかな、ということです。
仕掛人に同情できるところもあるし、配役のなかの誰かの心情に自分の心を重ねることが出来るのかなと感じました。
池波正太郎生誕100年ということで特集された映画なので、多くの方にぜひ見てもらいたいです。あとは、生き急いでいる方には、ちょっと立ち止まって、昔の日本人の暮らしを見て学ぶこともあるのかなと思いますので、お勧めです。
池波正太郎の世界観を漫画から入ってみてみるのもおすすめです。