この映画の鑑賞前に見ることを躊躇していた自分に言ってあげたいです。見て良かったよ!大泉洋さんが吉永小百合さんの息子役としてすごく輝いていたよ!!!と。
映画のタイトル こんにちは、母さん
監督 山田洋次監督
公開年 2023年9月1日(金)
鑑賞前に見た1分間の予告動画からは、「お母さんの老いらくの恋愛」、「息子の会社での問題」、「家族間の問題」がメインで、それを平和的に解決していくのかな~などと思っていました。が、なんと!予想を超えた展開がありました。鑑賞後には、これから生きていくのに視野が広がるような、とても豊かな心持ちになりました。
映画「こんにちは、母さん」あらすじ
舞台は東京、スカイツリーが見える下町エリアです。
お母さんが住む家を中心に物語が進んでいました。ここは足袋屋さんを営んでいて、店先はかつての寅さんの映画に出てくるような雰囲気のある場所です。時代設定は現代だけど、人の出入りが多くて鍵もかけない、ザ・日本の昭和の家という感じでした。
映画「こんにちは、母さん」 感想と評価
登場人物はお母さんも息子も孫もみんな優しい、気遣いがある、明るい人たちです。
生きていると思い通りにいかないことばかりで挫折しそうになりますが、周りの人に支えられながら、思い通りにいかない結末にも納得をしながら、それでも元気に生きていく、そのための強さをもらえる映画だと感じました。
思い通りに事が進んでいるのは孫娘ぐらいというのも面白いです。すべての人がハッピーエンドではないというところがこの映画を見る醍醐味だと思いました。
人間の本音が出ていたということで評価は星4つです。
映画「こんにちは、母さん」好きなシーンとセリフ
主要なキャラクター
・お母さん(吉永小百合さん)
・息子(大泉洋さん)
・孫(永野芽郁さん)
・牧師さん、お母さんの好きな人(寺尾聡さん)
「本音が吐けるのはお掃除ロボットだけか、、、」息子の心の声
大手企業の人事部長の役職がある彼は、希望退職を募る辛い仕事の毎日です。家に帰っても誰もおらず、掃除機に八つ当たりする姿にクスッと笑えますが、部屋に家族も誰もいない状況はやはり寂しいものです。
「なんか暗かったんだよ、この前来た時」お母さんの息子に対するセリフ
母親は息子の暗い表情を敏感に読み取っているのですね。長椅子にふて寝する息子に、すぐさま座布団で作った枕を息子の頭の下に入れてあげるお母さん。喧嘩口調になりながらも反射的に枕を差し出す姿は一瞬でしたが、愛情深いお母さんの自然な演技だと感じました。
「生活保護を受けなければ屋根のある部屋に住めないよ」
「これぐらい自力で(大きな荷物が載る自転車を)起こせないと生きていけないんだよ!」
牧師さんと井野さん(田中泯さん)の掛け合い
ボランティアと浮浪者。施しをする側とされる側の心がなかなか溶け合わない。見ている者にはそれぞれの主張が分かるので、もどかしさが募ります。
世の中良かれと思ってやることが相手に伝わらないってよくあるよな、と思いながら見ていました。
個人的に好きな俳優さん、田中泯さんの主役を食うぐらいの迫力の演技はいつも格好良いです。
「おつきあいするわ、お買い物に」お母さんが牧師さんに言うセリフ
それを聞いた牧師さんは嬉しそうな顔をしている。牧師さんとの買い物が楽しかったのか、鼻歌しながら帰宅するお母さんがとても可愛いです。
「すき焼きにしようか?」
なにげないお母さんの言葉ですが、なんと温かいのでしょう。母の優しさが見ている者にとっても身に染みます。
「言ってもらうまで待つの」お母さんの言葉
孫娘との会話で、プロポーズを待つ心を伝えるお母さん。素直に孫に自分の気持ちを言えるお母さんは、お茶目で可愛らしくてとても素敵でした。
「お前はこの花火と一緒に生まれてきた。世界中が祝福してくれていると思っていた」
打ちあがる花火を見ながら、こんなことを親から言われたら、どんなに心が荒んでいたとしても悩んでいたことが消えていきそうです。親はいつだって自分の子供が一番大切なのだなと改めて思います。
映画「こんにちは、母さん」 映画音楽
リストラに関するシーン、浮浪者との掛け合いなどの辛く切ないシーンで聞くバイオリンの音はさみしげに聞こえます。でも下町ののどかな風景が出てくると、またラストに流れるバイオリンの音はこれからも普通の毎日が続いていく安心感を引き出してくれます。
劇中に流れる曲はどれも心地よいもので、千住明さんの音楽は切ないと明るいが同居していて、見る人を納得させるような素敵な音楽だと感じました。
映画「こんにちは、母さん」まとめ
好きなシーンとセリフ、音楽についてまとめてきました。
鑑賞前は「息子役が大泉洋さんか…あんまり好きなタイプじゃないんだよな」と思っていました。芸能人としては有名な俳優さんですが、演技の面ではあまり好きではなかったです。
でも鑑賞して思ったのは、辛いシーン明るいシーンでも割とどのセリフも長くある中で、感情をセリフに乗せるのが上手だなと感じました。
セリフっぽく無くて、普通に生活している家族間のセリフ、企業の上役としてきっちり仕事をこなすセリフを自然にこなしていたように思います。
こういうことが出来るから、大泉洋さんは山田洋次監督に選ばれたんだな、と思わされました。
映画「こんにちは、母さん」は吉永小百合さんの美しさや可愛さ、演技力の高さがあることが前提ですが、その周りの俳優さん方がとても魅力的で、惹きつけられる映画です。
毎日の生活に疲れている方、色々なことが思い通りに行っていない大人に見てもらいたいです。是非鑑賞してみてくださいね。