日本映画ならではの楽しさで、評価★4つです。小説が題材で内容がしっかりとあることが一番にありますが、着物や城の内部、江戸の街並みの背景が美しく、最後までノンストップで楽しめます。どのシーンも細部まで凝っています!
映画『大名倒産』あらすじ
主人公の松平小四郎は鮭売りの息子。しかし実は殿様のご落胤でした。身分を明かされた小四郎は、庶民から殿に大抜擢。これぞまさにシンデレラストーリーと思いきや、このおいしい話には裏がありました。
切腹か100億円返済か、究極の選択
丹生山藩は万年赤字体質のビンボー藩。それにも関わらず歴代の藩主は放置し、積もり積もった借金は何と25万両(現在の価格に換算して100億円)!!
不良債権に頭を抱えた殿様は隠居を決意。息子・小四郎に藩の計画倒産という無理難題を押し付けます。しかし事が予定通りに進んだとしても、小四郎は債務不履行の責を問われ、切腹は免れません。切腹か、100億円返済か。小四郎は究極の二択に苦しむ…という展開です。
映画『大名倒産』心に残ったセリフとシーン
「命を粗末にして良いということではない。あなたがいなければ悲しむ人がいるのですよ。」間垣なつ(宮崎あおいさん)のセリフ
小四郎に対して、お母さんが言うセリフ。幼き小四郎は素直に言葉を受け取り、お守りも授けられました。松平小四郎となったときには家臣に対して「生きて入れば誰かの役に立てるのです」と引用しています。これは誰が言われても響く言葉ですね。
「皆が武器を持つから戦が起こるのではないでしょうか」「しきたりは誰が何のために決めたのですか?」 松平小四郎のセリフ
世の中に対して意見を言っています。これは現代にも通じる言葉です。
これがはっきり言えるかどうかで、自分の周りの環境は変わっていくのでしょうね。
「私の幸せは私が決めまする」お初(藤間爽子さん)のセリフ
うつけものの新次郎(松山ケンイチさん)のことを慕い、優しいお初さんが二人の結婚を反対するお父さんにきっぱり言います。人が人を思うことは如何に純粋で美しいものかはこのカップルから感じられます。
「夢を見てこその藩主ではありませんか?ともに未来を歩むのが藩主の務めではありませんか?」小四郎のセリフ
新しい藩主の姿!昔の時代でも「新しい上司像」という風に捉えられたのか?ということを知りたいという欲求が残りますが、現代ではこんな風に自分が部下だった時に言われたら、ついていこう!という気持ちになります。
一狐斎(小四郎の父)の部屋にあった書「放屁三昧、自己責任、老後資金、鼻水崩壊、親子断絶」
この4文字熟語の書が父の部屋にありますが、それが何度か映るたびに気になって、心の中でクスクスと。
まさか、ここにお金のありかのヒントがあるとは‼笑えます。
モバオクで楽しいことをやっていました
あの気になった書道を検索していたら、モバオクに出品されていました。SDGsの一環で作品で使った小道具をオークションに出しています。素敵な考えですね。
映画『大名倒産』は私たちに何を伝えたいのか
かつての大名のなかには貧乏ものがいたけど、その状況を打破するべく、リサイクル、SDGs、シェアハウス、キャンプ(野宿)といった現代にもつながるような方法を駆使して、乗り切っていくことを楽しんで活動しながらも、仲間や親子の信頼関係を守っていこう、目の前のことを堅実にこなしていけば大丈夫だよ、ということかと私は思いました。
お父さんが持っていた「課題」が小四郎の手に渡った時に違う視点でそれを捉えられたのは、幼少期の育ち方や経験が生かされ、新しい目で見たからだと思います。小四郎をはじめ家臣たち(特に磯貝!)やその他もろもろ登場人物のキャラが濃いので、その人たちの行動の過程を楽しみながら見られ、課題を解決していく方法を学べます。
キャラが濃い中でも個人的に好きなのは、磯貝(浅野忠信さん)なのですが、小説だと「切腹バカ」がどういう描写になっているのか、気になりますね。
Amazonプライムへ行ってみる